「小さな出来事」魯迅

贡献者:袖袖袖 类别:日文 时间:2020-03-30 00:56:08 收藏数:14 评分:0
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小さな出来事
 私は田舎から北京へ来て、瞬く間に6年になる。その間耳に聞き目に見た国家の大事なるものは、数えてみれ
ば相当あった。だが私の心にすべて何の痕跡も残していない。もしその影響を指摘せよ、と言われたら、せいぜ
い私の癇癖を募らせただけだ----もっと率直に言うと、日増しに私を人間不信に陥らせただけだ、と答える
ほかない。
 ただ一つの小さな出来事だけが、私にとって意義があり、私を癇癖から引き離してくれる。今でも私はそれ
が忘れられない。
 それは民国6年の冬、ひどい北風が吹きまくっている日のことである。私は生活の必要から、朝早く外出し
なければならなかった。ほとんど人っ子一人歩いていなかった。ようやく人力車を一台つかまえ、s門まで行く
ように命じた。暫くすると北風がいくらか小止みになった。路上の埃は吹き清められ、何もない大道だけは残り
、車は一層スピードを増した。やがて門に行き着こうとするころ、不意に車の梶棒に人が引っかかって、ゆっく
り倒れた。
 倒れたのは女だった。髪は白髪混じり、服もおんぼろだ。いきなり歩道から飛び出て車の前を横切ろうとし
たのだ。車夫は梶を切って道をあけたが、綿の食み出た袖なしの上着にホックがかけてなかったために、微風に
あおられて広がり、それが梶棒にかぶさったのだ。幸い車夫が早く車を止めたから良かったものの、そうでなか
ったら、ひっくり返って頭を割るほどの事故になったかもしれない。
 女は地面に伏したままだし、車夫も足を止めてしまった。私は、その老婆が怪我したとは思えなかったし、
外に誰もみていないのだから、車夫のことをおせっかいなやつだと思った。自分からいざこざを起こし、その上
私にも迷惑がかかる。
 そこで私は「何ともないよ、やってくれ」と言った。
 しかし、車夫は耳も貸さずに----聞こえなかったかもしれないが---梶棒を下ろして、老婆をゆっく
り助け起こし、腕を支えて立たせてやった。そして尋ねた。
 「どうしたね」
 「怪我したんだよ」
 私は思った。お前さんがゆっくり倒れるところをこの目で見たんだぞ。怪我などするものか。狂言に決まっ
ている。実に憎いやつだ。車夫も車夫だ。おせっかいの度が過ぎる。それほど事を構えたいなら、よし、どうと
も勝手にしろ。
 ところが車夫は、老婆の言うことを聞くと、少しも躊躇わず、その腕を支えたまま、一足一足歩き出した。
私は怪訝に思って前方を見ると、そこは派出所だった。大風の後とて、外は無人だった。車夫は老婆に肩を貸し
て、その派出所を目ざした。
 この時ふと異様な感じが私を捉えた。埃まみれの車夫の後姿が、急に大きくなった。しかも、去るにしたが
って、ますます大きくなり、仰がなければ見えないくらいになった。しかも彼は、私にとって一種の威圧めいた
ものに次第に変わっていった。そしてついに、防寒服に隠されている私の「卑小」を絞り出さんばかりになった

 この時私の活力は、凍りついたように、車の上で身動きもせず、ものを考えもしなかった。やがて派出所か
ら巡査が現れたので、ようやく車から降りた。
 巡査は私のところへ来て言った。「ご自分で車を拾ってください。あの車夫は引けなくなりましたから」
 私は反射的に、外套のポッケトから銅貨を一つかみ出して、巡査に渡した。「これを車夫に……..」  
風が全く止んだが、通りはまだひっそりしていた。私は歩きながら考えた。しかし考えが自分に触れてくるのが
自分でも怖かった。さっきのことは別としても、このひとつかみの銅貨は何の意味か。彼への褒美?私が車夫を
裁ける??私は自分に答えられなった。
 この出来事は、今でも良く思い出す。そのため私は苦痛に耐えて自分のことに考えを向けようと努力するこ
とにもなった。ここ数年の政治も軍事も、私にあっては、子供のころ読んだ「子曰く、詩に云う」と同様、一つ
も記憶に残っていない。この小さな出来事だけが、いつも眼底を去りやらず、時には以前に増して鮮明に現れ、
私に恥を教え、私に奮起を促し、しかも勇気や希望を与えてくれるのである。
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